自分なりに、何度も考えてみました。
教えることは好き。
でも、あの授業のペースを崩さずにフォローできるのだろうか。
N先生に迷惑をかけてしまわないだろうか。
そもそも、私はパソコンが得意ではない……。
そんなふうに考えあぐねていると、K先生から電話が鳴りました。
「どう? 考えてくれた?」
「いや……やっぱり無理です。」
「どうして?」
「授業についていくのがやっとだった私が、人に教えるなんて無理です。N先生にも迷惑をかけてしまいます。」
するとK先生が言いました。
「そのN先生が、どうしてもあなたにお願いしたいって言ってるんだけど。」
「……えっ?」
N先生とは、卒業後ほとんど接点がありませんでした。
それでも私のことを覚えていてくださり、「あなたに」と思ってくださっていたことが、本当に嬉しく、そして驚きました。
N先生はとても厳しい先生です。
けれど、訓練の最初に行った5分間スピーチの授業では、私の発表を驚くほど褒めてくださいました。
訓練生には、仕事への向き合い方について厳しく指導されることもありましたが、その内容は、アパレル時代に上司から何度も言われてきたことと重なっていました。
だから私は、その話に深く共感し、いつも頷きながら聞いていました。
その瞬間、私の気持ちは半分ほど揺らぎます。
「N先生がおっしゃってくださるのなら……。」
すると、K先生がもうひと押ししました。
「できないからこそ、できない人の気持ちがわかるんだよ。」
この一言で、すべてが決まりました。
次の瞬間、自然と口から出た言葉は、
「……させていただきます。」
するとK先生は、まるで獲物を捕まえたかのように、
「やったー!! 本当にお願いします!」
と、大喜び。
こうして、私のインストラクター人生が始まりました。
そして、あれから20年。
今、教室が大切に掲げている言葉があります。
「できない人の気持ちがわかるパソコン教室」
あの日、K先生がかけてくださった一言は、20年経った今も、私の教室の原点になっています。
