駆け抜けた3か月間の座学訓練。
大学を卒業して社会人になり、再びこうして学ぶことになるなんて、夢にも思っていませんでした。
教室があり、
先生がいて、
仲間がいる。
この感覚は何年ぶりだろう。
お昼休みには、みんなでお弁当を食べながら色々な話をして、本当に学生時代に戻ったような気分でした。
毎日が充実していて、かけがえのない時間を過ごすことができました。
そして、かけがえのない仲間たちとともに座学を修了し、それぞれが希望する企業での実務訓練へ進みました。
私は、訓練後に希望すれば正社員登用の可能性がある企業を選びました。
憧れだったオフィスレディ(懐かしい響き(笑))。
それまでアパレルメーカーに勤務し、百貨店で接客をしていた私にとって、事務職という仕事は何もかもが新鮮でした。
ある日、お昼休憩から戻ってきたときのことです。
私はいつものように
「休憩ありがとうございました」
と声をかけました。
すると周囲の皆さんが「え?」という反応。
どうやら、その職場では特に言わなくてもよかったようで、ちょっとしたカルチャーショックを受けたのを覚えています。
グラフを作成したり、資料をまとめたりと、慣れない業務に取り組む日々でしたが、皆さんが親切に教えてくださり、本当にありがたかったです。
そして実務訓練終了後、無事に正社員登用のお話をいただくことができました。
こうして私は、某電機メーカーの秘書として働くことになったのです。
新しい職場、新しい仕事、新しい人間関係。
期待と不安が入り混じる中でのスタートでしたが、これまでとはまったく違う環境に身を置くことに、どこかワクワクしている自分もいました。
アパレル業界ではお客様と直接接することが仕事の中心でしたが、秘書の仕事はその逆で、常に一歩先を考えながら相手を支える仕事です。
電話応対、スケジュール管理、来客対応、会議資料の準備。
一番驚いたのは、毎日100件近いメールを処理しなければならないことでした。
まだパソコン操作もぎこちない私にとって、それはそれは大変な作業でしたが、日々多くのメールに目を通す中で、ビジネスメールのやり取りや基本的な作法など、数多くのことを学ぶことができました。
この経験は、その後の私の人生においても、大いに役立つものとなっています。
最初は慣れないことばかりで戸惑う毎日でしたが、一つひとつ経験を積み重ねる中で、少しずつ仕事の面白さややりがいを感じられるようになっていきました。
販売職で培った経験は、思っていた以上に秘書業務で役立ちました。
目配り、気配り、心配り。
相手が何を求めているのかを先回りして考え、行動することは、接客も秘書も同じだったのかもしれません。
そんな姿勢を当時の上司にも評価していただいたことは、大きな自信につながりました。
そして何より、自分には無縁だと思っていた事務職の世界で、新しいキャリアを築いていけることが嬉しかったのです。
しかし、この頃の私はまだ知りませんでした。
この先、人生を大きく変える出来事が待っていることを――。
